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先輩の声/岡田 隆平

今やっている研究が
将来のがん治療を変えられるかもしれない。

岡田 隆平 2011年入局

皆さんはどのような将来像を思い描いているでしょうか?何科にするか悩んでいる方もいらっしゃるでしょうし、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の道に進みたいけど、どこに行こうか迷っている方もいらっしゃると思います。私の当医局での経験が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

私は2009年に東京医科歯科大学を卒業し、同大学初期研修プログラムⅡで研修しました。学生時代に軽音楽をやっていたのもあって、音声や聴覚を扱う耳鼻咽喉科には興味がありました。研修医一年目には耳鼻咽喉科・頭頸部外科に進もうと臍を固め、初期研修2年目に8か月間耳鼻咽喉科・頭頸部外科を選択させて頂きました。当時の教授や指導医の先生方には良くしていただき、研修も有意義だったのですが、実はどこの科に入局を決める段になって、最後の最後まで迷いました。今の研修制度ではよくあることと思いますが、色々な科で研修させて頂くうちに、こっちの科もいいな、あっちの科もいいなと目移りしてしまいました。しかし、最終的には医局の雰囲気の良さや当時の教授、医局長からの熱い勧誘もあって当科に決めました。今となっては本当に良い決断をしたと追懐しております。

入局後は群馬県立がんセンターで2年間濃密な頭頸部がん治療の研修を受けたのち、武蔵野赤十字病院、東芝病院(現在の東京品川病院)で計2年半、一般的な耳鼻咽喉科疾患を含めて研修させて頂きました。その後、入局5年目の秋から大学病院の頭頸部外科に異動となり、腫瘍外来に加えて、鼻や音声の外来も担当いたしました。また研究の面では、入局3年目から臨床解剖学分野に社会人大学院生として所属し、耳管周囲の解剖について研究し学位を頂きました。その後、頭頸部がん関連の研究もしたいな、と思っていた矢先に耳鼻咽喉科の先輩に声をかけて頂き、ヒトパピローマウィルスに関する研究をする機会も頂きました。

そして、2018年(入局7年目の最後)から現在(2020年)までワシントンDC郊外メリーランド州ベセスダにあります米国国立衛生研究所(NIH)の国立がん研究所(NCI)に研究留学させていただいております。所属しているのは、近赤外光線免疫療法(がん光免疫療法)を開発されたことで有名な小林久隆先生の研究室です。小林先生の研究については留学が決まる約1年ほど前にインターネットの記事で読み、「すごい研究だな、この治療であれば今担当している難しい患者さんも治るかもしれないな、こういう研究がしたいな」と思っておりましたが、当時は自分がそこに留学できるとは想像だにしておりませんでした。しかし幸運というのは突然訪れるもので、大学院の終わりが見えてきた頃に朝蔭教授に研究留学について相談したときに、なんと小林先生をご紹介頂き、気が付いたら今に至ります。現在は頭頸部癌を含むマウスの癌細胞株を用いて様々な近赤外光線免疫療法の治療効果や作用機序について研究しています。また、大変ありがたいことに他のラボの超重鎮と一緒に研究させて頂く機会も頂いております。研究ではうまくいかないことも多々ありますが、今やっていることが将来のがん治療を変えられるかもしれない、少しでも多くの病気を治すことができるかもしれないと思うと自然とモチベーションが上がります。異国の地で生活するというのは苦労もありますが、日常が全て刺激的で、毎日新しい発見があります。研究は日本でもできますし、研究をやる上で海外留学は必ずしも必要ないかもしれませんが、海外に住むことや著名な研究者がそこら中にいる研究所に留学するというのは非常に良い経験ではないかと思います。

東京医科歯科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科には、「なるべく医局員たちの望みを叶えてあげよう」という暖かい雰囲気があります。皆さんにも様々な未来が見えていると思います。是非その夢を当科で叶えてみませんか?当科にはきっとその受け皿があるのではないかと思います。皆さんの入局をお待ちしております。