TREATMENT

頭頸部腫瘍について

頭頸部とは目より下、鎖骨より上の範囲の総称です。この狭い範囲には鼻腔、副鼻腔(上顎)、口腔(舌)、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺(耳下腺、顎下線)など多くの臓器が含まれています。つまり頭頸部腫瘍とは、これらの臓器にできた腫瘍の総称ということになります。この範囲にできたがんは、頭頸部がんと呼ばれます。頭頸部腫瘍外来では舌がんなどの口腔がんをはじめとした頭頸部がんを主な診療対象として、頭頸部腫瘍全般を診療しています。これまで頭頸部腫瘍外来では非常に多くの診療実績があります。それらの経験に最新の医療情報を加味し、それぞれの患者さんに最適な治療を提供しています。

診療日
火曜午前、木曜日午前午後、金曜日午前

受診の流れ

当院を受診するには近医からの紹介状が必ず必要です。頭頸部腫瘍外来ではがんをはじめとした悪性腫瘍の診断が確定している患者さん、もしくは強い疑いの患者さんの診察を受け付けています。そうでない患者さんは毎日午前中にある一般外来を受診して下さい。また、初診の当日は紹介状や画像検査の電子カルテへの読み込みに時間が掛かりますので、遅くとも予約時間の1時間前には受付を済ませるようにして下さい。
セカンド・オピニオン外来も随時受け付けております。

初診予約
03-5803-4655
耳鼻咽喉科・頭頸部外科外来
03-5803-5682
セカンド・オピニオン外来
03-5803-4568

当専門外来の特色

経験豊富なベテランスタッフによる確かな医療

頭頸部がん、頭頸部腫瘍に関して経験豊富なベテランスタッフが診療にあたります。多くの医師が日本耳鼻咽喉科学会指導医・専門医、頭頸部がん指導医・専門医、癌治療認定医を取得しています。当外来終了後にはスタッフ全員が集まり、診断・治療方針・手術適応につき慎重に検討を行い、それぞれの患者さんに最適な医療のご提案を行っています。病状によって放射線科、形成外科、脳神経外科、食道外科などと協力して診療を行います。

あらゆる頭頸部腫瘍への対応

当科では表在がんなどの早期がんから頭蓋内に進展した超進行がん、再発がんまでのあらゆる段階の頭頸部がんへの対応が可能です。また、小児悪性腫瘍、AYA世代と呼ばれる思春期、若年成人の悪性腫瘍、希少がんと呼ばれる発症頻度の低い悪性腫瘍などの治療経験も豊富です。そのため、他院で治療が困難と判断された患者さんが、日本全国から受診しています。また、メディカル・ツーリズムを利用して海外から受診される方もいらっしゃいます。

安全かつ低侵襲な手術

当科では手術をより安全に行うために、指導医、専門医の資格をもった医師が2名以上手術に入ることを原則としています。手術手技としては出血を最小限にとどめ、乾いた術野で手術を行うことによって、温存する血管や神経の副損傷の回避に努めています。結果的に手術時間も大幅に短縮されることが多くなっています。医療機器に関しては4K内視鏡システム、ナビゲーションシステム、神経モニタリングシステム、高周波凝固装置などの最先端の医療機器を駆使して、安全かつ低侵襲な手術を実現しています。

短期入院

安全かつ低侵襲な手術で合併症を回避することにより、頭頸部悪性腫瘍の患者さんの約90%が、全国平均よりも早く退院をされています。全国の大学病院で第一位の実績であり、当科が唯一80%を超える結果を挙げています。

臨床試験や治験への参加

当科は日本臨床腫瘍研究グループの頭頸部グループの正式メンバーであり、多くの臨床試験に参加しています。特に早期舌がんの予防的頸部郭清に関する臨床試験(JCOG1601)では共同研究事務局を担当しており、多くの患者さんにご参加頂いております。また、標準治療と比較してよりよい治療の開発を目指す治験と呼ばれる診療試験にも多く参加しています。

スタッフ紹介

代表的な疾患の治療例

早期舌がん

Stage 1/2舌癌に対する予防的頸部郭清省略の意義を検証するランダム化第3相試験(JCOG1601:略称RESPOND)
早期舌がん術中
早期舌がん術後
早期舌がん予防郭清後

進行舌がん

進行舌がん術中
進行舌がん再建術後

下咽頭表在がん

下咽頭表在がん切除前
下咽頭表在がん切除後
下咽頭表在がん切除6ヶ月後

経鼻内視鏡を用いた頭蓋底手術

頭蓋内に進展した腫瘍や、頭蓋底の骨へ浸潤した腫瘍は広範囲頭蓋底手術と呼ばれる大手術が必要となります。従来であれば顔面の皮膚切開が必要となった症例でも、今日は経鼻内視鏡とナビゲーションシステムを用いることにより顔面の皮膚切開を回避できるだけでなく、明瞭な視野のなかで十分な切除安全域を確保した手術が可能となっています。

嗅神経芽細胞腫 Kadish B
術後1年7ヶ月再発転移なし

頭頸部がんの一般的な治療については、国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ それぞれのがんの解説 部位・臓器別 口・のど・鼻・耳(https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html)を参照してください。

診療実績

東京医科歯科大学医学部附属病院頭頸部外科における診療実績をグラフで示します。がん情報サービスによると日本人男性では胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんが人口10万人あたり100人以上の発症で、口腔咽頭がんはわずかに20人程度です。当院でのがん登録においては、口腔咽頭がんが非常に多いことがお分かりになるかと思います。

2016年部位別登録件数 グラフ
2016年 部位別集計登録件数
東京都上位10施設
※当院10位以内の腫瘍
口腔・咽頭・喉頭 グラフ

また、東京都内の病院でみた場合、口腔・咽頭・喉頭がんの登録数は癌研有明病院に次ぐ第二位でした。