頭蓋底腫瘍について


頭蓋底や頭蓋底腫瘍と言ってもほとんどの方は聞き慣れない言葉だと思います。頭蓋底とは頭蓋骨の底面、脳を支える骨の部分ならびその周囲の部分です。頭全体からみてほぼ中央、まん真ん中に存在する部分です。 この部分は脳と体を結ぶ大切な神経や血管が走行しています。また、眼や耳・鼻など私たちの生活に重要な働きをもつ臓器もこれら頭蓋底を形成しています。従ってこの部位に病気が出来ると生命に差し障るだけでなく、視力や聴力、バランス感覚や嗅覚など重要な障害をもたらします。病気には腫瘍や外傷、炎症などがありますが、この部位に病気、特に腫瘍が出来ることはまれです。しかし、まれなだけに見逃されることも非常に多い部位と言えます。

頭蓋底腫瘍について

頭蓋底には先に述べたように大きな血管や神経があります。そのため、それらの神経と関連した腫瘍、すなわち神経から生じる腫瘍や(神経鞘腫など)血管と関連する腫瘍(グロームス腫瘍)、脳を包む膜からでる腫瘍(髄膜腫)や鼻や耳から出る悪性腫瘍(鼻副鼻腔がん、外耳道癌、嗅神経芽細胞腫など)いろいろな病気が生じ、もともとの器官や周りの構造物を巻き込み、様々な症状をきたします。

診断治療について

病気によって手術、放射線、薬(化学療法)またそれらの組み合わせなど方針が変わってきます。特に手術や放射線治療では腫瘍のある頭蓋底部位になんらかの操作(侵襲)が加わることで、いろいろな合併症や副損傷が起きる可能性があります。これらの病気を正しく診断し、適切な治療方針を立て、合併症の少ない安全な治療・手術をおこなうにあたっては、単にCTやMRIなどの画像検査を行うだけでなく、頭頸部外科や耳鼻咽喉科、脳神経外科で行われる特殊な検査(耳に関する検査、内視鏡検査、血管造影など)が必要となってきます。頭蓋底の病気ではそれらの障害を出来るだけ避ける治療法の選択や、生じてしまった障害に対するケアも重要です。

手術に際しては、手術に参加する頭頸部外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科さらに形成外科の専門医師が集まって綿密な手術計画をたて、できるだけ皆で同席して患者さんに説明(インフォームドコンセント)を行い、さらに手術後も各科の医師が専門的立場から集中管理を行います。

私どもの取り組み

これらの病気は非常に珍しく、かつ危険性の高い手術ですので大学病院などの大きな病院でも必ずしも多くなされているわけではありません。私どもはこれらの腫瘍の治療について多くの経験を積んでおり、病気の性質や、安全な手術法など国際的に認められていることもあります。しかし、頭蓋底の病気にはわかっていないこともまだまだ多くあります。頭蓋底の病気をもつ患者さんの診断、治療を通じて、これらの病気についてわからないことを研究するとともに、病気のそのものの治療はもちろん患者さんの生活の質を保つためのすぐれた治療法・手術法ならびに手術後のリハビリテーションなどの開発を進めています。これらの取り組みを通じて、大変難しいとされる病気を患者さんと一緒に立ち向かっていくのが私ども頭頸部・頭蓋底先端治療センターの使命です。

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