頭頸部外科 教授挨拶

ご挨拶

頭頸部外科 教授 朝蔭孝宏

 東京医科歯科大学頭頸部外科は平成11年4月に、岸本誠司初代教授を迎え日本で初めての頭頸部外科学講座として設立されました。その後、他大学でも数施設に頭頸部外科学講座が設立されましたが、今日でも当科は国立大学では唯一の頭頸部外科学教室であり、日本の頭頸部癌診療のリーダーとして発展を遂げています。当科のスタッフは、開講当時は教授1、講師1の2人体制でしたが、今日では教授1、講師2、助教1、医員2の計6名に増えています。6名全員が耳鼻咽喉科専門医、4名が頭頸部癌専門医と他に類をみない、充実した人員で一丸となって、臨床に取り組んでいます。また、耳鼻咽喉科学教室とは密に連携し、毎週合同カンファレンスを定期的に行うとともに、外来、手術なども協力して行っています。

 当科では耳鼻咽喉科頭頸部外科の悪性腫瘍を中心にあらゆる腫瘍を取り扱っています。定型的な手術や(化学)放射線治療を行うのは当然でありますが、全国から超進行癌や頭蓋顔面深部の頭蓋底腫瘍など、他の大学やがん専門施設でも二の足を踏むような症例を多数ご紹介いただき、このような難治例に対しても形成外科、脳外科、放射線科など東京医科歯科大学の関連するすべての科の力を結集して治療に取り組んできました。咽喉頭癌では導入化学療法や喉頭温存部分切除術を用いることにより、音声や嚥下機能を可能な限り温存し、癌を治すだけでなく、加療後のQOLを出来るだけ高く保てるような治療を行っています。また、電子内視鏡の発展に伴い、以前であれば見つかることがなかったような早期の咽喉頭癌が診断されるようになってきました。このような症例に対しては経口腔的腫瘍切除による低侵襲治療を行っています。超進行癌から早期癌まで、あらゆるステージの患者さんに対して、患者さんの希望に沿うようきめ細かい全人的医療の提供を心がけています。

 私たちの使命は頭頸部癌に苦しむ患者さんを救うことです。ですから当科では臨床研究を中心とした癌研究を積極的に行っています。医療の現場では時代ごとの治療の変遷を認めます。新しい治療が必ずしもいい結果を生むとは限りません。短期的に治療成績を検討し、問題点があれば早期に軌道修正し、明日からの患者さんへの治療に還元することが重要です。また、それだけではなく中長期的視点で未来の患者さんに対してベストの医療を提供できるような努力が望まれます。当科は他大学や他のがん専門施設と協力して、頭頸部癌に対する手術の臨床試験の中心的役割を担っていく予定です。また、近年話題となっている中咽頭癌とヒト乳頭腫ウイルスに関係するtranslational researchも行っています。当院でのバイオバンク計画へも参加が決まり、今後はbasic researchも行っていく予定です。

 当科からは多くの頭頸部癌専門医が育って現場で活躍しています。全スタッフで優秀な頭頸部外科医を育成することを楽しみにしています。なぜなら、それは我々の使命である頭頸部癌に苦しむ患者さんを共に救う仲間が増えることになるからです。また、当科は国立がんセンター、癌研有明病院、埼玉がんセンター、群馬がんセンターと密接に連携しており、人的交流があります。若いドクターにはこのような他のhigh volume centerにて他流試合に挑んでもらい、一回りも二回りも大きくなって帰ってきてもらい、そこで学んだことを当科の臨床に還元してもらうようにしています。

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