耳鼻咽喉科大学院概要

概要

耳、鼻、口腔、咽頭、喉頭、ならびに、気管・食道も含め、脳神経外科、眼科、歯科が扱う領域も含めて広範な頭頸部領域の疾患を扱い、対象疾患の診断ならびに外科的・内科的治療による治療を目標に研究、教育を行っています。めまい・平衡障害、難聴については、その病態について分子メカニズム、比較発生、神経機能解析等と種々の手法による基礎研究を行っており、これらの成果に基づいた診断から治療の先進的、総合診療が特徴です。鼻の領域ではアレルギー性鼻炎の診療に力を注いでおり、難治性の鼻疾患の診療に取り組んでいます。

口腔・咽頭領域では、口蓋扁桃摘出によるIgA腎症の腎障害の進行阻止ならびに、移植された腎臓が再びIgA腎症を発症した際にも扁桃摘出術の有効性を証明しています。

研究・教育について

耳鼻咽喉科学は、耳、鼻、口腔、咽頭、喉頭の耳鼻咽喉科領域のみならず、気管・食道も含め、脳神経外科、眼科、歯科が扱う領域も含めて広範な頭頸部領域の疾患を扱い、対象疾患の診断ならびに外科的・内科的治療による治療を目標に研究、教育を行っています。特筆されるのは、聴覚・平衡障害などの感覚器障害、上気道(鼻腔)アレルギーなどの免疫疾患、言語・発声・嚥下などの機能的障害などの診断、治療、リハビリテーションなどです。15の学外施設と研修医の研修で人事交流を行っており、当分野の現在の教室員は、学内17名、学外31名です。また、6名の大学院生が在学しており、脳機能画像、CTによる側頭骨画像解析、難聴遺伝子、聴器の比較解剖・発生、実験動物の内耳組織、前庭神経細胞の電気生理をテーマに研究中です。平成23年度は、文科省ならびに厚労省からの競争的研究助成金13件を取得し、医員と研修医を除いたスタッフ8名中、6名が研究資金を獲得しており、研究内容が高く評価されています。特に、若手の研究者の業績が評価され、平成21、22年度と2年続きで福岡臨床研究奨励賞を受賞しています。さらに、東京医科歯科大学脳統合機能研究センター若手シンポジウムポスター賞も平成22、23年度に連続して当分野から受賞者がでています。海外施設とも緊密な交流関係を構築しており、平成23年度は、米国 NIHに2名の留学生を派遣中です。

診療では、平成22年度は新患者数2,901名、再来患者数32,482名、入院患者数810名、中央手術室での手術件数は634件(耳:93件、鼻:166件、口腔・咽頭:84件、唾液腺:44件、喉頭・気管:71件、頸部・顔面:158件、その他)でした。外来における手術件数は272件、観血的処置は447件と中央手術室での施行件数を合わせると1,000件近くになります。外来での診療は、午前中はすべての疾患を対象とする一般診療、午後は専門外来として、アレルギー・副鼻腔外来、めまい外来、中耳炎外来、頭頸部腫瘍外来、嚥下外来、難聴・耳鳴・補聴器・顔面神経外来を開設し、それぞれの疾患の専門的かつ最新の診療を行っています。


業績1

難聴のみを主症状とする非症候群性遺伝性難聴では、すでに50以上の原因遺伝子が同定されています。当分野では、遺伝学的解析によりGJB2、WFS1、DFNA5変異例やミトコンドリア1555変異例などの聴平衡覚機能の特徴を明らかにしました。また、難聴の原因遺伝子としても重要なミトコンドリアDNA変異の網羅的検出法を確立しました。さらに、次世代シーケンサーや脳機能画像も用いて、分子レベルでの難聴発症機構、脳の中枢での聴覚機能の解明や治療を目標とした研究を行っています。(Laryngoscope 2010, 2009, Acta Otolaryngol 2011, 2010, J Hum Genet 2010)。


業績2

マウスの研究で、有毛細胞における機械刺激を電気信号に変換するチャネルとしてTmc1遺伝子およびTmc2遺伝子が構成要素である可能性を示唆しました(図1, J Clin Invest 2011)。また、難聴遺伝子であるvlgr1が、蝸牛外有毛細胞の感覚毛の基部に発生・分化の時期に発現し、聴覚発達に必須な遺伝子であると証明しました(Neurosci Lett 2009)。さらに、ラットの聴覚中枢(台形体)のシナプス前部にAMPA受容体が発現しており、三量体Gタンパク質を介する電位依存性カルシウムチャネルの阻害により、興奮性シナプス伝達を抑制することを証明しました(Proc Natl Acad Sci USA 2005)。


業績3

めまい・平衡障害は、現在を含めて3名の当分野代表者が専門分野としていたため、40年近くの診療・研究実績があります。この歴史的背景から、代表的なめまい病変のメニエール病の10年以上の長期の診療成績を解析し、診療に役立ててます(Acta Otolaryngol 2012)。目に見えませんが、コミュニケーション障害として、難聴は大きなハンディキャップとなります。当分野では、難聴の診断から治療まで、総合的な診療を行っており、我が国で始めて埋め込み型骨導補聴器の埋め込み手術を行いました(図2, 日耳鼻会報 2003)。


業績4

国民病とも言われるアレルギー性鼻炎の治療に、当分野では病態に応じて、免疫療法を含む投薬治療、アルゴンプラズマによる手術治療を施行し、特に症状として問題となる鼻閉について、短期的かつ長期的な有効性を報告しています(J Med Dent Sci 2010, Auris Nasus Larynx 2005)。また、難治性の鼻の疾患として、好酸球性副鼻腔炎、リンパ腫等についても、総合的な診療を行っています(耳鼻臨床2012)。


業績5

腎不全の原因として頻度の多いIgA腎症には、口蓋扁桃摘出術が腎不全の進行を阻止するために有用で、該当症例では手術が施行されます。当分野では、腎臓を移植された方の移植腎に、発症したIgA腎症の手術においても、口蓋扁桃摘出の豊富な経験があり、腎障害の進展予防に有効と報告しています(日耳鼻会報 2012)。

耳鼻咽喉科学

准教授:角田篤信
講師:杉本太郎、野口佳裕
助教:鈴木康弘, 川島慶之,高橋正時

TEL: 03-5803-5303 FAX: 03-5803-0146

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